2023.10.23

【Open】萌蘖別邸ー無有の宿ー

無有の宿〈萌蘖別邸〉

約19坪のとてもコンパクトな空間だが、さまざまな非日常の装置を組み込んでいる。それは本荘に入る前からはじまっており、くねらせたアプローチには多種多様な植栽を施している。木立の中をくぐって建物にたどり着くという趣向だ。外壁は焼杉。緑がよく映える。

竹林を臨むよう吹抜けのリビングダイニングを置き、窓を開け放つと外のテラスと一体になる。テラスは外のダイニングと見立て、1階とテラスは桜島の溶岩張りの土足とした。内には薪ストーブ、外には五右衛門風呂の焚き口と、火を楽しめる装置も用意した。

2階は宿泊を考慮して畳敷き。1階の開放的な空間に対して、2階は囲まれた小空間の心地よさを凝縮した。和の文化にも触れることの出来る空間である。

朝は薄もやの中、鳥のさえずりで目を覚ます。風が奏でる竹や木々の葉音、四季折々の花や緑を愛でながら、外で朝食をとってもいい。夜は、薪をくべ、ただ火と静寂を味わう……。自分で焚いた五右衛門風呂で身体を温める……。

心身を解き放つ体験が、ここでのもてなしである。